長崎大学病院・CLiP肝細胞研究グループ

CLiP技術の仕組み

CLiP/CLP-001とは

― 化学的に誘導された肝前駆細胞 ―

患者さまご自身の肝細胞から作製したCLiP/CLP-001を用いる再生医療アプローチ

CLiP(クリップ)とは、患者さまご自身の肝細胞から作製される「肝前駆細胞」と呼ばれる細胞です。成熟した肝細胞に特定の低分子化合物を作用させることで、増殖できる状態へと変化させる技術によって作られます。この細胞は体の外で増やすことが可能であり、その後、肝細胞や胆管の細胞へと分化する性質を持っています。

CLP-001は、このCLiPを医療に用いるために加工した細胞製剤です。まず、腹腔鏡手術により患者さまの肝臓から少量の組織を採取し、そこから肝細胞を取り出します。その細胞を約12〜16週間かけて培養・増殖させ、一定の品質基準を満たした細胞のみを用いて製剤化します。

非臨床試験では、CLP-001が肝機能や肝組織に影響を与える可能性が示唆されており、ヒトで同様の作用が得られるかどうかは、本研究で慎重に評価します。また、細胞そのものの働きに加えて、細胞から分泌されるさまざまな因子が周囲の肝細胞に影響を与えることで、肝臓の環境を整える可能性も考えられています。

本研究の対象は、主に肝移植が困難な非代償性肝硬変の患者さまです。現時点で根本的な治療が限られている領域に対する、新しい治療アプローチとして開発が進められています。なお、本研究はヒトへの初回投与を含む初期段階の臨床研究であり、安全性の確認を主な目的としています。有効性については、今後の研究によって検証されていく段階です。

CLiP="増やせる肝細胞のもと"

※非臨床試験では、以下の特徴が確認されています。

CLiP(Chemically-induced Liver Progenitors)特許に関して Evia Life Sciences社とRewind社オプション契約済み。ただし、知的財産の存在自体が有効性や安全性の確率を意味するものではありません。

CLP-001の製造工程

「CLP-001」は、患者さまご自身の細胞を実際の医療に用いるために加工した細胞製剤です。長崎大学病院内の細胞プロセシングセンター(CPC)において、約12〜16週間(約3か月)の期間をかけ、適切な品質管理のもとで以下の3つの工程を経て慎重に製造されます

ステップ1:採取

腹腔鏡手術により患者さまの肝臓から少量の組織を採取し、そこから肝細胞を取り出します。お腹に小さな穴をあけて行うため、できるだけ体への負担を抑えた方法で実施されます

ステップ2:培養・増殖

取り出した細胞は、長崎大学病院内の細胞プロセシングセンター(CPC)において適切な品質管理体制のもとで培養されます。ここで約12〜16週間(約3か月)かけて培養・増殖させ 、研究に必要な数まで増やします

ステップ3:製剤化

培養の過程では、遺伝子異常や腫瘍化のリスクがないかを確認するといった工程を行います。これらの厳格な検査をクリアし、一定の品質基準を満たした細胞のみを用いて製剤化し 、細胞製剤「CLP-001」として完成します。

経門脈肝内移植

完成した「CLP-001」を、全身麻酔下での手術によって患者さまの肝臓へお戻しします。下腹部を小さく切開して腸の静脈から管(カテーテル)を挿入し、肝臓につながる太い血管(門脈)を通して細胞を直接届けます。専門医による慎重な操作のもと、安全性を最優先に実施されます。

2つのメカニズム

直接的な組織の補填

投与された細胞が体内で肝細胞などへ分化し、肝組織の再生に関与します

周囲の環境を整える(パラクライン効果)

細胞から分泌される因子が、周囲の肝細胞に良い影響を与え、肝臓の環境を整える可能性が示唆されています

研究の位置づけと安全性

本研究はヒトへの初回投与を含む初期段階の臨床研究であり、安全性の確認を主な目的としています。